今年のGWは、個人的には4日間しかなく「全然ウィークじゃないじゃん」とは思いつつ、「いや、でも土日が2回分あると思えばめちゃくちゃラッキーでは?」と思ったりもしつつ。
ともあれ4日間という限られた時間をなにに使うか決めなければならないとなったとき、真っ先に思い浮かんだのは「読書」でした。
「この4日間は本を読みまくるぞ!」と決めて臨んだGW。
読んだ本はこちらの4冊。
- 太宰治『津軽』
- 久保(川合)南海子『イマジナリー・ネガティブ』
- 江國香織『きらきらひかる』
- 夏目漱石『こころ』
太宰治『津軽』
ここ3年くらいの個人的ベスト本を塗り替える、特大ホームラン小説でした。
ラスト、終わり方がすごく良いですね。
最後の節は有名で、すでに結構目にしている方も多いと思うし、ネタバレにはならないと思うので引用します。
さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。では失敬。
良いですね〜。
太宰のこういうキザなところが好きなんです。
久保(川合)南海子『イマジナリー・ネガティブ』
オレオレ詐欺や陰謀論、風評被害や霊感商法など。これらがすべて地続きになっているという指摘はとてもおもしろかったです。
P127で紹介されていた、アーサー・ポンソンビーが提唱している、戦争プロパガンダの10項目がビビッときました。いまの時流を考えると、他人事じゃないなと思います。
江國香織『きらきらひかる』
こんなことを言ったら多方面から怒られが発生しそうですが、「メンヘラを美しく描くとこうなるのか〜」という感想を持ちました。(※私はメンヘラを自称しておりますので、このナイフは自分にもしっかり突き刺さっております)
全体として表現が美しくストーリーとしても面白いので、江國香織さんに根強いファンがいるというのはすごくよく理解できました。その意味で読んでみて良かったと思います。
夏目漱石『こころ』
これは読むのに時間がかかりました。骨が折れた。
そもそも中学時代にこの小説を読もうとして挫折した経験があったこともあり、へっぴり腰で読み始めました。それでも今回読み切ることができたのは間違いなく「音読」のおかげです。
音読をすると夏目漱石の小説は映えるなと毎回思います。『吾輩は猫である』『坊っちゃん』もそうだったのですが、夏目漱石の文章はなぜか声に出したときに一番すっと入ってくるんですよね。
これって私だけじゃなくて他の人も感じているのですかね?私だけだったらちょっと淋しいな。
とまあそうやって苦労して読んだ小説ではありますが、ラストはやはり圧巻。ズドンと思い荷物が託されたような読後感です。先生の秘密を読者のほうまで背負わされてしまうような。
こういう「ハッピーエンドではない小説」の方が人間をより緻密にスケッチできている気がして、私は好きです。
まとめ
以上、GW中に読んだ4冊でした。
明日からまた仕事が始まればてんてこ舞いで読書をするような精神的余裕もなくなってくるはずなので、つかの間の休息だったと思ってまた次の長期休暇を楽しみにしたいと思います。
読みたいと思っていた本が一気に読めた、大満足の連休でした。