今後どんな運命が待ち構えているのか予測がつかないことを、日本のことわざで「鬼が出るか蛇が出るか」と言うらしい。
Z世代の私は寡聞にして今日この言葉を知ったのだが、「当たるも八卦当たらぬも八卦」が類義語にあたると言われるとなんとなくニュアンスが理解できる気もしてくる。
特にAIをめぐる昨今の動向は目まぐるしく、素人には予測がつかないのが正直なところ。まさに「鬼が出るか蛇が出るか」の様相を呈している。
そんな中、OpenAI社が今年1月、新しいAIエージェント「Operator」を発表した。
デモ動画がYouTubeにアップされているのを見た。
動画の中で使用例の一つとして紹介されていたのが、ECサイトでの買い物である。
具体的には、まず買い物リスト(卵やマッシュルーム等の単語の羅列)を「Operator」にインプット。するとECサイト上で商品をカートに入れるところまで実行してくれるというのだ。もはや人間の仕事は、支払いのためのクレジットカード情報を入力し決済することだけ。
これはあくまで「Operator」で可能になることの一部でしかないが、私はこのデモ動画に非常に強い衝撃を受けた。
なぜなら、このテクノロジーは広告のターゲットを大きく変えてしまう可能性を秘めているからだ。業界の常識が変わると言っても過言ではない。
ここから先は、ただの「占い」だと思って聞いてほしい。
ECサイトで商品を選定する作業をAIが代行するようになれば、意思決定をするのはAIになる。そんな世界で広告を打つのであれば、人間ではなくAIをターゲットにする方が効率的だ。
すると一瞬にして、これまでのダイレクトマーケティングの常識、ウェブコンサルティングの定石、広告のクリエイティブの前提は覆されてしまう。
まとめると、今後AIエージェントが当たり前になれば、我々の生業とする広告のターゲットが人間からAIに変わる可能性があるということだ。
その時、レガシー広告代理店にはなにができるのだろう。人の心を動かし行動を喚起することをゴールとして疑ってこなかった私たちに、果たして次の時代の広告がつくれるのだろうか。
とはいえこれも「当たるも八卦当たらぬも八卦」。あくまで「占い」である。