今週のお題「本屋さん」
忙しいときこそ本屋へ
休みの日でさえも「働くために休んでいる」気がするのは私だけではないだろう。余暇の時間も含めたすべての時間が何かを生産するための時間になってしまう。
生活が労働に飲み込まれる。現代を生きる我々は、気を抜くとすぐにマシーンと化してしまうのだ。
一呼吸おくための本屋
ビョンチョル・ハンが『疲労社会』の中で指摘するように、今の社会においては「先へと考え進めることしか許され」ず、「後ろを振り返り熟考することは不可能」である。
そんななかで自分のペースを取り戻したり一呼吸置いたりするためには、一度今いる場所から離れる必要がある。
だから私は、日常から離れるために本屋さんに行っている。
お気に入りの本屋さんをもつということ
お気に入りがあるだけで、暮らしが彩られる。
それは本屋もしかりだ。
広島に「ふわふわ」という書店がある。
正確にはブックカフェ&バーなのだが、本を販売しているのでここでは「本屋」と呼ばせてもらうことにする。
このブログにも書いたが、先日、仕事帰りに新幹線に飛び乗ってこの「ふわふわ」に向かった。
「ふわふわ」で本を読んでご飯を食べてコーヒーを飲む。
文章にしてしまうとたったこれだけのことなのだが、この実践を通して「労働の奴隷」だった私は開放され、みずみずしい感性や思考がよみがえった。
労働と生産性が重視される社会で、自分だけのお気に入りをもつこと。その効果ははかりしれない。
そんな時代ではないけれど
全国の自治体の約4分の1には、書店がない。
減少が深刻な街の書店、国がデジタル化推進で経営支援…「地域の書店振興は地方創生の観点でも重要」 : 読売新聞
この20年で国内の書店数は半減した。
256町村「図書館も書店もない」、全体の15%…専門家「活字文化が廃れていく」 : 読売新聞
書店を守りたい、買い支えたいと思っている人は多いけれど、足元の生活は苦しくなるばかり。
食品高騰で1月の消費者物価3・2%上昇…1年7か月ぶりの高い伸び、コメ類は7割超値上がり : 読売新聞
それに、AmazonのKindleなら、読みたいと思った瞬間に読み始めることができてしまう。
そんな状況下で「本屋さんで本を買いましょう」とは言いづらい。
場としての本屋
だから、せめてこう言いたい。
お気に入りの本屋さんを持ちましょう。
本屋に行けば普段の生活から離れて、自分の来し方や行く末に思いを馳せることができる。緊張していた心をとかすことができる。
お気に入りの本屋さんを持ちましょう。